「3年くらい売れていない在庫は、もう廃棄したほうがいいのかな?」
「保管料もかかるし、置いていても意味ないよね?」
「古い在庫って、ほかの商品まで売れにくくなるって本当?」
このような疑問を感じたことがある方は、多いのではないでしょうか。
実はこれらは、どれも売上に直結する非常に大事なポイントです。
Amazonのシステムは“売れない在庫”に対して、
表には出されない評価をしっかり付けています。
その事実を知らずに放置すると、
● 回転率の低下
● Buy Box(カート取得)の低下
● 売れる商品まで売れにくくなる
● アカウント健全性の悪化
といった連鎖が起き続けてしまいます。
この記事では、
その仕組みと、では実際にどうすればいいのか? という具体的な出口戦略までまとめています。
🔥【1】古い在庫は、アカウント評価を確実に落とします
Amazon公式にも記載されていますが、
🟥【古い在庫が大量に残っていると、Buy Box評価が落ちます】
Amazonのアルゴリズムは、
“回転率が高い=優秀な出品者” と判断する仕組みです。
そのため、
✔ 3ヶ月以上売れていない
✔ 半年以上倉庫に滞留
✔ 価格を調整しても売れない
✔ そもそも需要が落ちている
こういった在庫が残っていると、
アカウント全体の評価が下がります。
その影響で、
● 新規に出した商品も売れにくくなる
● カート取得率が落ちる
● 「最近売れ行き悪いな…」が続く
という状態に陥ってしまうのです。
Amazonは「古い在庫があると Buy Box が下がる」と
直接的には言いません。
しかし Amazon が公開している複数の指標を読み解くと、
が 確実にアカウント評価を下げる と理解できます。
以下がその根拠です。
🔵エビデンス①:IPI(在庫健全指数)
🔵1. IPIとは?(何を示す指標?)
- Amazonが公開している「在庫健全性」を評価するスコア
- 販売速度・過剰在庫・長期在庫が直接影響する
👉 “古い在庫・売れない在庫がある=スコアが下がる” と公式に記述がある
🔗公式(JP):
https://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/G202174810
(Inventory performance dashboard)
🔵2. IPIは“セラーの総合評価”を表すとAmazonが明記
US Amazon公式より:
「Your IPI score represents your overall inventory health and performance.」
👉 IPI=セラー(アカウント全体)の評価
つまり、
古い在庫が多い=アカウント評価が落ちる
のが“公式情報から導ける事実”。
🔗公式(US):
https://sellercentral.amazon.com/gp/help/external/GZJF4DY2W6MERBAL
エビデンス②:IPIの構成要素
Amazonは IPI が以下の要素で計算されると明記:
- Sell-through(販売回転率)
- Excess inventory(過剰在庫)
- Stranded inventory(滞留在庫)
- Long-term storage inventory(長期保管在庫)
👉 どれも“古い在庫・売れない在庫”があるほど悪化する項目
🔗公式(JP):
https://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/G202174810
エビデンス③:Buy Box(Featured Offer)】
Amazon公式ブログで、
Buy Box(Featured Offer)に影響する要素を明記:
- 価格
- 配送速度
- Seller performance metrics(セラーパフォーマンス)
- Inventory availability(在庫の健全性)
👉 セラーパフォーマンスの中に IPI 要素が入っているため
在庫健全性は Buy Box の評価に含まれている
🔗公式(Amazon blog):
https://sell.amazon.com/blog/buy-box-featured-offer
🔵【公式エビデンスを踏まえた“結論”】
上記の構造をまとめると、
- 古い在庫が多い
- 販売回転率が悪化
- IPI が低下
- アカウント評価が落ちる
- Buy Box が弱くなる
- ほかの商品まで売れにくくなる
という流れが Amazon公式情報から論理的に導ける事実 です。
つまり、
「古い在庫が他の商品まで売れにくくする」は、
感覚ではなく 構造的に正しい のです。
では、廃棄すればすべて解決するのか?
結論から言いますと、
✔ 廃棄すれば“アカウントの重り”は確実に取れます
ただし、
“すべて廃棄すればいい”というわけではありません。
そこで重要になるのが、
仕入れ金額による出口戦略の分け方です。
仕入れ金額によって「廃棄」「損切り」を分けるのが最適解
あなたが最初に言ってくださったこの判断――
実はプロのセラーも全員やっています。
🟥仕入れ価格が低いもの(〜1500円程度)
→ 廃棄を選ぶのが最も合理的です
理由は以下のとおりです。
● 保管料のほうが高くつく
● 値下げしても利益が出ない
● 古い在庫として評価を落とし続ける
● 回転率の足を引っ張る
つまり、
残しておくメリットがゼロどころか、マイナスが増える一方なのです。
🟦仕入れ価格が高いもの(2000〜円以上)
→ 損切りして売り切るほうが圧倒的に得です
● 廃棄すると損失が大きい
● 値下げすれば売れやすい
● 現金化できる(資金が戻る)
● 回転率が上がる
● 売れればアカウント評価が改善
「少し値下げしただけで売れる」ケースはかなり多いため、
高単価ほど“売って終わらせる”ほうが効果的です。
プライスターで在庫を消したら廃棄になるのか?
これは非常に多い誤解ですが、
【プライスターのカタログ削除では、廃棄はされません】
プライスターはあくまでも 「管理ツール」 です。
そのため、
商品は画面上から消えただけで、
AmazonのFBA倉庫には 在庫が残り続けます。
🟦【じゃあ、自動返送(廃棄)設定をしていた場合は?】
ここが誤解されやすいポイントです。
✔ 自動返送設定で “廃棄” を選んでいる場合
→ 期限が来れば 自動で「廃棄または返送」されます
しかし重要なのはここ👇
【自動廃棄の“期限が来るまで”は、FBA在庫として残り続ける】
つまり、
● プライスターの削除
● 在庫管理画面の非表示
などをしても、
自動廃棄されるその日まで、在庫は“存在している扱い”になります。
その間は…
✔ 在庫日数は伸び続ける
✔ 古い在庫としてカウントされる
✔ アカウント評価にも影響する
✔ 回転率も下がる
つまり、
自動廃棄の日を待つ=アカウントがずっと重いまま
という状態になります。
廃棄をすると、なぜ回転率やカート取得が上がるのか?
理由はシンプルです。
✔ アカウント全体の“滞留在庫ペナルティ”が消えるからです
AmazonのAIは、
「滞留している在庫が少ない=回転率が良い」と判断します。
その結果、
✔ カートが取れやすくなる
✔ 新規の出品が売れやすくなる
✔ アカウント全体の動きが軽くなる
という改善が起こります。
では、実際の廃棄方法はどうすれば良いのか?
理由(なぜやるか)が理解できたうえで読むと、
手順は非常にシンプルです。
🔥【FBA在庫の廃棄手順】
- ① セラーセントラルにログイン
- 上部メニューの 「在庫」 → 「全在庫の管理」 を開きます。
- 廃棄したい商品の左側にチェックを入れてください。
① セラーセントラルにログイン
① セラーセントラルにログイン
上部メニューの 「在庫」 → 「全在庫の管理」 を開きます。
廃棄したい商品の左側にチェックを入れてください。
② 右端の「…(三点リーダー)」をクリック
商品ごとにある 縦3つの点(…) を押します。
ここを押すと追加メニューが開きます。

メニューの中から「返送/所有権の放棄依頼の作成」 を選択
青枠で囲まれている項目です。
③返送方法の選択画面が開きます
ここで 「廃棄」 を選びます。

廃棄する“数量”を入力
「確認」ボタンをクリック

次の画面でも間違いなければ「確認」ボタンをクリック

完了です。
④廃棄が完了したら、SKUも断捨離してOK
廃棄依頼が完了して在庫が 0 になった商品は、
そのあとは SKU も削除してしまって大丈夫です。
✔ セラーセントラルのSKU削除
✔ プライスターを使っている人は、プライスター側のSKU削除
どちらも “断捨離” だと思ってスッキリさせてしまいましょう。
残しておいても、もう売れることはありません。
むしろ管理画面がゴチャついて、判断が鈍ります。
古い在庫の整理は、
「せいり・せいとん」ではなく、
“過去のSKUを手放す” までやってこそ軽くなる 作業です。

🟧【補足:こういうメールが届いていたら“今がやるタイミング”です】
実は、売れない在庫を見直すベストタイミングにはサインがあります。
それが、Amazonから届く
🟥「FBA長期在庫」関連のメール

です。
あなたの受信箱に、
次のような文言が入ったメールが来ていないかチェックしてみてください。
まとめ:長期在庫の整理は「管理コスト」だけの話ではありません
長期在庫の整理は、
ただの“在庫処分”ではありません。
✔ ムダな保管料の削減
✔ 回転率の改善
✔ Buy Box(カート)獲得率の上昇
✔ アカウント健全性の向上
✔ 売れる商品の売れ行きまで軽くなる
つまり、
長期在庫を手放すことは、
アカウント全体の“呼吸”を取り戻す作業です。
古い在庫は、ただ置いてあるだけの“物”ではなく、
あなたのアカウントの動きを重くする“見えない重り”。
逆に言えば、
その重りを外した瞬間から、
アカウントは一気に軽く、売上は自然に上向いていきます。
もし今、
「何となく売れ行きが悪い…」
「新規商品が動かない…」
と感じているなら、
それは長期在庫を見直すサインかもしれません。
今日、ひとつ処分するだけで、
明日からの売れ方が変わります。
長期在庫は“負債”。
整理するのは、あなたの未来の売上を守るための“投資”です。





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